Bibliographical introduction to major literature on art education in Japan
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Bibliographical notes list on key literature on art education in japan
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戦前戦後の我が国の美術教育の歴史を、官製のそれとの対立的位置関係におきながら紐解いていった後、上野は、戦後培われていった民主主義教育とは、ひろい意味での科学的精神と芸術的精神との育成を目指すものであると述べる。科学的精神とは、真実を追求する批判的精神、現実を法則的に把握する合理的な思考力、おそれるところなく現実を直視し、自由に創造的に思考する精神である。芸術的精神とは、人間性の美しさ、人間生活の深さにみずみずしい感動をもちうる柔軟な精神、一切の非人間的なものに対して全身の怒りを感じうる熱度の高い真摯な心情である。この二つは決して矛盾するものではなく、内的に結びついているという。 この著書の前半では、近代および現代の芸術への評価を通じて、今後の進むべき「健康な」方向として、レアリズム芸術や民衆の芸術などが謳われている。一方で、マルクス主義的様式論のレアリズム優位説に対するリードの様式論からの修正を今後の課題として挙げながらも、当時47歳の上野は、「はるかに人間的な、自由な社会である社会主義社会」に、無条件ではないにしても「共鳴」していた「熱き」精神の持ち主であった。 掲げられた理想的な理念の高邁さと、それを受け入れるに足ると想定された「理想的」な社会制度や教育内容・方法などの「枠組み」との間に存在する「ずれ」が、今日では顕わに浮かび上がって見える。
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