Bibliographical introduction to major literature on art education in Japan
PageNAVI - ホーム→日本芸術教育主要文献解題一覧→思考する言語[上] 「ことばの意味」から人間性に迫る
Bibliographical notes list on key literature on art education in japan
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S・ピンカーは、本書の著者紹介によると、2009年現在はハーバード大学心理学研究室教授である。専門は心理学ということになるが、その心理学の知見を生かし、「意味」や「心」の面からアプローチすることで、卓越した言語論を展開している。 まず第1章は、「ことばは世界をどう捉えるか」について、思考・現実・社会・感情・人間関係とことばとのかかわりから論じ、本書の柱となる〈思考の言語〉は言語そのものとは別ものであるという「概念意味論」の考え方を紹介している。 続く第2章では、人間の心の中では単語の意味が「因果性」「手段」「出来事」「場所」という〈思考の言語〉の基本的な概念によって表象されるという「概念意味論」の理論を、動詞の分析によって証明する。 そして第3章は、思考・感情は語そのものではないからこそ、言語という“のぞき窓”を通して、人間の本性―思考や感情の持つ奥深い普遍的な特性―を知ることができるのだというピンカーの主張で締めくくられる。本書の主張を別の角度から捉えれば、ことばだけではなく、芸術活動もまた心の捉えた世界を表現する方法と言えよう。 なお3冊シリーズの第1冊目にあたる。実例の豊富な[中][下]を先に読んでから、この[上]を読んでみた方が、S・ピンカーの「言語は人間の本性を知るための“のぞき窓”である」(p.13)という主張の意味がよく理解できるかもしれない。
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