Bibliographical introduction to major literature on art education in Japan
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Bibliographical notes list on key literature on art education in japan
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關衞の著書といえば『普通教育に於ける芸術的陶冶』(大正10年)や『芸術教育大観』(大正13年)等が挙げられる。それらは、発達研究や児童心理学を基にした美的教育論といえる。しかし本書は、題名が芸術や図画ではなく「図案」である。先ずはその題名に驚かされる。本書は昭和8年に発行された。翌9年には川喜田煉七郎・武井勝雄共著『構成教育大系』、佐武林蔵著の『図案の研究』等が発行されている。つまり本書は、図案教育や構成教育が徐々に関心がもたれてきた背景の中で著作されたものと推測できる。本書の序には「将来に於ける我が工業の進歩如何は、吾々が次の国民たる児童に、注意深い図案教育を施す決心であるか否かによって決せられる。(略)図案活動は真剣な人間の全的活動であってこれは芸術家が芸術品を鑑賞したり、全精神を緊張して創作したりする場合と、其の態度に於いて共通である。ただ其の目的とする実用と美とに若干の差があるだけである」とある。また第1章では、「図案する」ということは児童の精神内部における視覚表象の形成活動を発展させ、より新しい価値あるものを生産させ、児童の精神発達を援助し、社会生活や職業生活に有用な諸能力を進めると述べている。このような論は、当時の手工や図案研究者には少ないユニークな見解である。そのような意味から考えて、本書は芸術的・美的教育論に立脚した優れた図案論である。 (かすが あきお・東京造形大学)
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