Bibliographical introduction to major literature on art education in Japan
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Bibliographical notes list on key literature on art education in japan
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著者の近江源太郎氏は、早稲田大学大学院で造形心理学、色彩論を専攻し、現在は女子美術大学教授として教鞭をとられており、以前には同大学の学長を勤めた斯界の第一人者である。 本書は、「社会に充満する色をどうとらえるか」(第1章)、「日本人の好きな色、嫌いな色」(第2章)、「流行色の科学」(第3章)、「色彩感情を支配するもの」(第4章)よりなる色彩に関する著者の該博は知識があふれているエッセイである。色彩の基本的な理論から、色彩のもつ感情やそれが及ぼす心理と行動、さらには、色の感情価や好き嫌いの分析などについてわかりやすく解説させている。 とりわけ、第4章の「色彩感情を支配するもの」においては、自動車の多色化という卑近な例から、商品経済の発達した現代社会においては、色彩もまた主要な評価基準となり、個人の嗜好を表明する選択の用件となっている状況を説明し、それが一方では、選挙ポスターに見られるように、深く大衆のイメージに影響する効果を持つことを指摘している。 このように色彩が感情支配の道具として利用されているという現代的な現象は否定できないが、著者が始めに述べている通り、色彩は本来は個人の豊かな感情の発露として位置づけられるべきだろう。その意味でとりわけ幼児期の感性教育としての色彩教育は大きな意味を持っている。
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